令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(世界情勢の変化を踏まえた戦略的貿易・投資分散化及びグローバルサプライチェーン変革に関する調査)調査報告書〈詳細版〉
報告書概要
この報告は、サプライチェーンの途絶リスクに関する業界別分析について書かれた報告書である。近年の地政学的変化、経済危機、自然災害、パンデミック等により、グローバルサプライチェーンの脆弱性が露呈し、企業は多元化戦略を迫られている状況を背景として、日本企業のサプライチェーン途絶リスクを体系的に分析している。
報告書では、途絶リスクの高いサプライチェーンの特徴を8つの枠組みで整理している。市場面では高リスク国での販売、製品面では経済安保上の重要製品の製造・調達と自国での開発困難性、調達面では特定国からの輸入依存と多岐にわたる調達先への依存、製造面では地理的集中度の高さ、高リスク国での製造、労働集約型製造である。これらの特徴によって、地政学、経済、社会・環境、テクノロジーの4つの環境変化に対するリスクの受けやすさが異なることを示している。
産業別の考察では、各産業のサプライチェーン特徴を定量的指標で評価し、リスクレベルを高・中・低の3段階で判定する基準を設定している。新興国での販売比率、経済安保関連法への該当状況、技術取引における海外依存比率、特定国からの輸入比率、付加価値比率、海外拠点輸出比率、新興国生産比率、労務費比率などの具体的指標を用いて、各産業の途絶リスクを客観的に評価している。
さらに、サプライチェーン多元化の実態整理を通じて、企業がどのような対応策を講じているかを分析し、効果的なリスク管理手法を提示している。この調査結果は、日本企業がサプライチェーンの強靭性向上と多元化戦略を策定する際の重要な基礎資料となっている。
