令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(世界情勢の変化を踏まえた戦略的貿易・投資分散化及びグローバルサプライチェーン変革に関する調査)調査報告書〈概要版(英語)〉
報告書概要
この報告は、日本企業のサプライチェーンの断絶リスクと実際の多様化について書かれた報告書である。KPMG FAS株式会社が2023年に実施した調査研究として、サプライチェーンの脆弱性を評価し、企業の対応状況を分析している。
報告書では、サプライチェーンの断絶リスクが高い特性として8つの特徴を定義し、これらに基づいて3段階の高中低リスク評価基準を確立している。市場面では、政情不安等の高リスク国での売上比率を基準とし、新興国売上比率が10%超で高リスク、5-10%未満で中リスク、5%未満で低リスクと分類している。製品面では、経済安全保障上重要な製品の製造調達について、経済安全保障推進法の特定重要物資や外為法の基幹産業への該当性で評価している。
調達面では、特定国からの輸入依存度を重視し、資源分布の偏在等により特定国からの調達に依存している状況を、地域別輸入比率や総供給比率で測定している。また、サプライヤーへの高い依存度については、付加価値率や供給停止事例の存在により判定している。生産面では、投資規模等の効率性から生産拠点が地理的に集中している状況を、海外拠点輸出比率や地域別海外売上高で評価している。さらに、政情不安等の高リスク国での製造や労働集約的製造についても、新興国生産比率や労働費比率により段階的に評価している。これらの多面的な分析により、日本企業のサプライチェーンリスクの実態把握と多様化の進展状況を明らかにしている。
