令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(貿易分野デジタル化連携ツールの検討等)報告書概要版〈英語〉
報告書概要
この報告は、貿易デジタル化分野における協力ツールの検討について書かれた令和4年度国際経済研究事業の報告書である。
日本の貿易関連事業者は、デジタル化とDXを通じて業務効率化と国際競争力強化を図る必要があるが、現在のデータ連携においては各システム固有の仕様に対応する負担が増大している。貿易文書のグローバルなデジタル化率は1%未満にとどまり、従来の紙媒体での取引では240種類の紙媒体で36種類の文書が交換されているのが現状である。このような状況において、プラットフォーム間のデータ連携を促進するため、国際標準への準拠が急務となっている。
本研究では、国際標準データ仕様の実用性検証、データ連携促進メカニズムの検討、将来的な貿易データデジタル化推進策の考察という3つの観点から調査を実施した。具体的には、主要貿易文書であるL/Cおよび関連4文書について、実際の業務データと国際標準間でのデータ変換が可能であることを確認し、国際標準準拠のデータ連携インターフェースを用いた貿易文書デジタル化の実務上の効果を推計した。
シンガポール、欧州諸国等の先進事例調査においては、ルール統一、利用環境整備、利用促進という3つのアプローチが確認された。これらの事例を参考として、日本における将来的な政策提案を検討し、国際的な相互運用性の促進、UNCITRAL電子代替可能記録モデル法への対応、国際標準準拠ガイドライン策定等の具体的施策を整理した。特に重要な取組として、国際標準データ項目へのマッピング支援情報を提供するレジストリの構築、貿易データ流通基盤の整備、民間事業者の自発的取組支援等が挙げられている。
