令和4年度中小企業再生支援・事業承継総合支援事業(中小M&A支援の実態に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業のM&A支援機関に関する実態調査について書かれた報告書である。中小企業庁が2021年4月に策定した「中小M&A推進計画」に基づき、M&A支援機関の登録制度を通じた支援体制や中小M&Aガイドラインの遵守状況、さらに支援機関による不適切事例を把握するための調査が実施された。2022年度末時点で3117件のM&A支援機関が登録されており、その内訳は法人が73.3%、個人事業主が26.7%となっている。機関の種類別では、仲介業者が21.4%と最も多く、次いでコンサルティング会社、税理士、FAが続いている。設立年代では2010年代以降の設立が約9割を占め、特に2020年代の設立が50.8%と半数を超えており、比較的新しい支援機関が多いことが判明した。売上高については3000万円未満の機関が51.8%と半数を占め、従業員数も1~2人規模が33.9%と最も多く、小規模な事業者が登録支援機関の中心となっている。調査では支援機関による不適切事例も明らかになっており、しつこい営業電話や無断での企業情報掲載、契約を結ばない状態での情報収集など、様々なトラブル事例が報告されている。これらの実態調査結果は、中小M&A市場の健全な発展と中小企業の信頼醸成に向けた今後の制度改善の基礎資料として活用されることとなる。
