令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費(ガス分野における大規模災害時の保安業務の在り方に係る調査研究)報告書

掲載日: 2023年6月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
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令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費(ガス分野における大規模災害時の保安業務の在り方に係る調査研究)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ガス分野における大規模災害時の保安業務の在り方について書かれた報告書である。

令和4年度に経済産業省の委託を受けて実施された調査研究であり、都市ガス事業における大規模災害時の保安体制の課題と改善策について包括的に検討している。現在の災害対応体制では、一般ガス導管事業者とガス小売事業者が連携して復旧作業を行うが、小売事業者が需要家件数に応じて復旧要員を派遣する仕組みとなっており、特に新規参入事業者では普段保安業務に従事していない者を派遣せざるを得ない状況が指摘されている。また、災害復旧費用の負担についても、電力分野では託送料金に含まれているのに対し、都市ガス分野では小売事業者が負担する仕組みとなっている点が課題として挙げられている。

報告書では、これらの課題に対する解決策として、スマートメーター等のデジタル技術の導入による復旧作業の効率化に焦点を当てている。遠隔での保安閉開栓機能を持つスマートメーターの普及により、復旧の迅速化、動員数の削減、作業員の安全確保が期待されるため、目標年限を設定したロードマップの策定を目指している。検討会を設置して大手事業者から中小事業者まで幅広い関係者の意見を聴取し、他分野の先行事例調査や技術的課題の深掘りを実施している。

さらに、ガス事業全体におけるデジタル化の実態把握として、各種ガス事業者を対象とした大規模なアンケート調査を実施している。ガス小売事業者、一般ガス導管事業者、特定ガス導管事業者、ガス製造事業者、コミュニティーガス協会会員事業者など、事業者類型別にデジタル化の現状と必要性を詳細に分析している。調査項目には、取得データのデジタル化、遠隔監視・制御システム、データ分析の活用状況、業務効率化アプリケーションの導入状況などが含まれており、ガス事業におけるデジタル化の進展度合いと今後の課題を明らかにしている。最後に、災害時の復旧対応について需要家の理解を深めるための広報動画の制作も実施しており、ガス事業者の取り組みを分かりやすく説明する内容となっている。