令和4年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(家電リサイクル制度等の高度化に向けた調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度に実施された家電リサイクル制度の高度化に向けた調査について書かれた報告書である。我が国の家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)は平成13年4月に本格施行されて以降、2度の制度見直しが行われ、令和3年4月からは産業構造審議会と中央環境審議会の合同会合において3度目となる制度見直しの議論が実施されている。令和4年1月に取りまとめられた報告書では、引き続き対応が求められる課題とその対応の方向性が整理され、毎年1回のフォローアップが決定された。また、社会経済情勢の変化により新たな制度見直しが必要と判断される場合には、合同会合において議論を再開することとされている。
本調査では、家電リサイクル制度等の高度化に向けた課題対応や将来的な見直し議論に備えるため、家電市場の動向や現状の課題分析等の調査を実施している。主要な調査内容として、国内で発生した使用済家電の流通フロー作成と家電リサイクル制度検討会の実施が行われた。流通フロー作成では、消費者へのアンケート調査を通じて、令和3年度の使用済家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)の保有・排出状況を把握し、これらの製品がどのような経路で処理されているかを分析している。調査結果によると、多くの機器で80%以上が現在保有されているが、ブラウン管式テレビは3.9%と低い保有率となっている。
家電リサイクル制度検討会では、料金制度と家電リサイクル制度及び券のデジタル化について議論が行われた。料金制度については、個社管理方式の実現可能性や購入時回収方式の課題整理、EU型の費用内部化システムの検討等が実施されている。また、不適正処分・不法投棄の背景として、金銭的理由以外にも消費者の行動ニーズ(一括処分性、即時処分性)が影響していることが明らかになった。デジタル化については、ペーパーレス化によるごみ削減やトレーサビリティの向上等のメリットが期待される一方、高齢者への配慮やリユース阻害の防止等の課題も指摘されている。検討委員からは、統一したQRコードやIDタグの必要性、実証試験の重要性、収集運搬料金の取扱い等について様々な意見が提示されている。
