令和4年度地域経済産業活性化対策調査事業(北海道の物流環境、荷主と物流事業者の取組・課題等の把握に係る基礎調査事業)報告書(概要版)

掲載日: 2023年6月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局産業部産業振興課
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報告書概要

この報告は、北海道の物流環境と荷主・物流事業者の取組・課題について書かれた調査報告書である。

北海道は日本の国土の22%を占め、都市間の移動距離が長く、農林水産業や食料品製造業が主要産業であるという特性を持つ地域である。道内貨物輸送量の道内相互間では9割以上を自動車(主にトラック)が担っているため、持続可能な物流機能構築の重要性が特に高い地域といえる。本調査では、トラック輸送の観点から北海道の地域物流に係る実態や課題を明らかにするため、道内の荷主企業・物流企業・関係機関25社・団体を対象にヒアリング調査を実施した。

調査結果によると、令和2年の自動車による道内流動貨物量は37,699万トンであり、輸送モード全体の98%を占めている。道内の貨物量は概ね横ばいで推移しており、各運輸支局管区内の流動が9割を占める状況である。農業・食品分野では単価が安く運賃負担力が低い農産物や加工食品の輸送、医薬・日用品分野では厳格な温度帯管理や品質管理が求められる医薬品の輸送、建設分野では形状や大きさが多様で混載が困難な建設資材の輸送といった特性がそれぞれ存在している。

物流企業および荷主企業が抱える主要な問題点として、ドライバーの高齢化と不足が深刻化していることが挙げられている。特に2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働上限規制の適用により、物流の2024年問題が懸念されている。また、着地での待機時間の長さ、手積み・手卸しによる非効率性、着時刻指定の厳格性による非効率等の課題も存在する。北海道特有の問題として、道央圏と地方部の人口差に起因する輸送効率の低さ、農産物の物流量の季節波動の大きさ、冬季における予期できない輸送時間の変動等が指摘されている。

持続的・安定的な物流の確保に向けた課題として、物流危機に対する荷主の意識醸成と荷主の経営力向上、企業の枠組みを超えた物流の安定化に向けた取組、物流の効率化に向けた機械化やDXの推進等が重要であるとされている。また、物流を競争領域ではなく協調領域として捉えて、企業の壁を越えた連携により積載率向上や片荷輸送の解消を図る取組の重要性が強調されている。