令和4年度地方での「創業×事業承継」等の促進における影響等分析及び連携体制の構築等に係る調査 調査報告書

掲載日: 2023年6月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 四国経済産業局地域経済部新事業推進課
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令和4年度地方での「創業×事業承継」等の促進における影響等分析及び連携体制の構築等に係る調査 調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、地方における創業支援と事業承継支援の連携による地域経済活性化について書かれた報告書である。近年、地方では少子高齢化や人口減少により事業者が減少し、開業率の低迷や後継者不足による休廃業件数の増加が喫緊の課題となっている。これらの課題解決には、事業承継支援による雇用の場の維持だけでなく、創業支援による新たな雇用創出が重要である。

調査では、地域課題解決型ビジネスと経営資源引継ぎ型創業等を促進することの効果について先進事例調査を実施した。文献調査では創業関係10件、事業承継関係12件の事例を選定し、ヒアリング調査では創業関係7件、事業承継関係8件の支援者とプレイヤー双方から実態把握を行った。

地方における創業の現状として、2020年度の開業率は全国平均5.1%であり、都市圏と地方では大きな差が生じている。特にスタートアップ企業は資金調達のしやすさから東京一極集中の傾向が強く、地域が有する支援リソースに合わせた体制構築が必要である。

事業承継については、経営者の高齢化進展により休廃業・解散が増加傾向にある。中小企業庁では2025年までに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると推計している。廃業事業者の約6割が黒字廃業であり、貴重な経営資源の喪失が続いている状況である。

調査から得られた課題として、地方では資金や人材等のリソースに地域間の偏りがあり、創業支援と事業承継支援には共通する事業者ニーズやプロセスが存在することが明らかとなった。両者の連携により相乗効果が生み出され、効率的な支援が可能であると考えられる。

報告書では、地方において波及効果の高い支援を行うための支援体制や支援のあり方について、有識者の意見聴取を踏まえて検討を行い、地域の実情に応じた創業支援と事業承継支援の連携体制構築が地域機能の維持と地域経済の活性化に繋がるとの提言をまとめている。