令和4年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(地域での洋上風力発電に関する案件形成の促進に向けた調査事業)報告書

掲載日: 2023年6月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課風力政策室
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報告書概要

この報告は、地域での洋上風力発電に関する案件形成の促進に向けた調査について書かれた報告書である。政府が掲げる洋上風力発電の導入目標を実現するため、継続的な新規案件創出が必要な状況において、都道府県と地域・漁業関係者の連携による案件形成の課題と対策について調査した結果をまとめている。

調査は三つの主要項目で構成されている。まず個別地域における案件形成に向けた導入可能性調査では、島根県隠岐の島町、富山県東部沖、北海道留萌市の三地域を対象として、離島における送電技術、漁業団体との意見交換、浮体式洋上風力における漁業協調のあり方などの課題について検討を行った。次に案件形成の加速化のための共通課題に関する調査では、学識経験者と自治体職員による研究会を設置し、都道府県担当者へのアンケート調査を実施して、地域調整や漁業との共生策に関する課題を分析した。さらに洋上風力発電に対する理解醸成に向けた効果的な広報施策に関する調査では、海外事例として欧州の漁業者と洋上風力事業者の共存を目指すFLOWW、デンマークの市民参加による発電事業、スコットランドのシナリオマッピング手法について調査を実施した。

研究会での議論では、地元関係者との協議体制の構築、漁業関係者への対応、県と市町村の役割分担などが重要な論点として挙げられた。また漁業者に対する発信については、統一的なガイドラインの策定は困難であり、自治体職員が自ら学習して自分の言葉で説明することが信頼関係構築において重要であることが明らかになった。海外事例からは、利害関係者間の継続的な対話の場の設置、地域住民の発電事業への参加機会の提供、透明性を確保した協議プロセスの重要性が確認された。これらの調査結果を踏まえ、今後の案件形成においては、地域特性に応じた柔軟なアプローチと関係者間の信頼関係構築が不可欠であると結論付けている。