令和4年度商取引・サービス環境の適正化等に係る事業(民間主導による企業の会計業務におけるクレジットカード決済データ流通の促進に係る調査事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、民間主導による企業の会計業務におけるクレジットカード決済データ流通の促進に係る調査について書かれた報告書である。
背景として、日本の生産性が海外と比して低い中、国内企業の99.7%を占める中小企業のデジタル化が重要なテーマとなっており、法人カードのデータ連携を活用した業務効率化の推進が求められている。法人カードは会計システムとのデータ連携により会計業務の効率化を図ることができるが、十分に普及しておらず、データ連携の効果が得られていない現状がある。
本調査では、中小企業を対象としたWebアンケート調査を実施し、企業間取引における決済の実態や課題を網羅的に把握した。調査により、中小企業の経営課題として、デジタル化の遅れ、経理関連業務の非効率性、資金繰りや与信の困難さが明らかになった。また、法人カードのデータ連携に関する課題として、電子帳簿保存法への対応、会計ソフトとの連携実態、部門を跨ぐ購買業務の複雑さ、企業間の受発注データ連携の困難さが挙げられた。
法人カードの普及拡大への課題分析では、B2B取引市場規模に対する法人カードのカバー率の低さ、バイヤー側における期待効果とメリットの認識不足、加盟店拡大の困難さが課題として特定された。サプライヤー側においても、法人カード受付体制の整備が不十分であることが判明した。
今後の対応方向性として、法人カードの普及促進に向けたPR戦略の検討と目標設定について議論を行った。指標としては取扱高を採用することが望ましいとの結論に至り、イシュアの範囲拡大、カード種別の定義明確化、比較対象となる分母の検討などが今後の取組事項として整理された。法人カードの普及により中小企業の業務効率化とデジタル化推進を図ることが本報告書の最終的な目標である。
