令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(現下の世界経済情勢を踏まえた我が国企業の海外展開の実態及び課題把握に関する調査研究)調査報告書
報告書概要
この報告書は、現下の世界経済情勢を踏まえた日本企業の海外展開の実態及び課題について分析した調査研究である。新型コロナウイルスパンデミックからの回復途上にあった世界経済が、ロシアのウクライナ侵略によってエネルギー・食料価格の上昇、サプライチェーンの混乱、労働市場の人手不足により不確実性を増している状況を背景として実施された。
本調査では、GlobalTradeAtlasや国際産業連関表、OECDTiVA等を用いて、世界の貿易構造変化、サプライチェーン及びグローバル・バリューチェーンの実態、日本企業の海外現地法人を含む売上・利益・投資・雇用の現状と見通し、オフショアリング・リショアリングに対する考え方等について定量的・定性的に分析を行った。
分析結果によると、過去20年間で中国の貿易が大幅に増加し、世界貿易において15%の市場シェアを占める主要輸出国となった一方、日本のシェアは2000年の9%から2018年には5%に低下した。アメリカの製造業市場シェアも2000年の15%から2018年に9%に減少し、ASEANが新たな成長地域として存在感を増している。
エネルギー分野では、日本のエネルギー自給率が11%と低く、中東への依存度が高い状況が確認された。自動車産業では、日本の国内生産が2012年比で14%減少し、電子製品については輸入の52%が中国からとなっている。中国は安価な労働力と先進技術により、31%の市場シェアを持つエレクトロニクス産業のリーダーとなった。
これらの分析結果は、2023年版通商白書の作成及び今後の通商政策の企画立案における基礎資料として活用されることを目的としている。