令和4年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(発電所の環境アセスメント運用等に係る検討事業)報告書

掲載日: 2023年6月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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令和4年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(発電所の環境アセスメント運用等に係る検討事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、再生可能エネルギー発電設備のリプレース事業における環境アセスメントの適切な実施について書かれた報告書である。

近年、陸上風力発電設備のリプレース事業が本格化しており、環境影響評価図書数は2018年の1件から2022年の11件へと急増している。本調査は、リプレース事業の環境アセスメント特有の課題を抽出し、重視すべき項目や環境アセスメントの合理化について検討することを目的として実施された。調査は、国内の既存資料の活用状況調査、海外の法制度調査、発電事業者へのヒアリング調査の三つの方法により行われた。

国内調査では、環境省および日本風力発電協会が作成したガイドラインを整理し、リプレース事業における評価項目の選定や調査手法の簡略化について分析した。特に風力発電特有の環境影響である騒音、風車の影、動物への影響、景観について詳細に検討された。海外調査では、デンマークの協力を得て欧州諸国のリパワー・リプレース事業の法制度と技術面での取り扱いを調査した。発電事業者へのヒアリング調査により、実際のリプレース事業における課題やニーズが把握された。

調査結果から、リプレース事業では既設の風力発電機を撤去し新設の風力発電機を設置するため、環境影響が同程度または軽減される特性を持つことが確認された。この特性を踏まえ、環境影響評価における参考項目の選定では、改変面積が小さく植生自然度が低い区域を改変する場合や、過去の環境影響評価結果から影響が限定的と想定される場合には、専門家の意見を踏まえた上で項目を選定しないことが可能であるとされた。また、既設事業の調査データの活用により現地調査の省略や簡易的な手法の採用が可能であることが示された。