令和4年度産業経済研究委託事業(AIを活用した総括発注業務の効率化に係る実現可能性調査等)調査報告書

掲載日: 2023年6月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁長官官房総務課
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令和4年度産業経済研究委託事業(AIを活用した総括発注業務の効率化に係る実現可能性調査等)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中小企業庁の総括発注業務におけるAIを活用した業務効率化の実現可能性について書かれた報告書である。

令和4年度に実施された本調査では、中小企業庁の総括発注業務において、発注メールと添付ファイルを適切な課室及び班に自動振り分けするAIエンジンの開発と検証が行われた。従来の特定課室のみを対象とした範囲から、庁内全課室とその配下の原班に対象を拡大し、とりまとめ課から原課総括への課振分と、原課総括から原班への班振分という2段階振分システムの自動化を目指した。

AIエンジンの強化では、令和3年度に開発されたプロトタイプをベースに、取り扱い可能なファイル形式をWord、PDF、Excel、PowerPointに拡大し、重要箇所抽出機能を追加するなどの改良が施された。計5,531個の特徴語から構成される課室及び班ごとのナレッジを構築し、メール・添付ファイルに対して課室・班別の振分スコアリングを行い、振分候補と判断根拠及びその該当箇所を出力する振り分けエンジンを開発した。

システムのプロトタイプ開発では、総括係員の業務効率化を支援するUI/UXシステムが構築され、メイン画面やナレッジ・組織管理画面が整備された。また、導入後の運用ルールが策定され、庁内課室の総括係員向けに実際の発注メール等を用いた検証が実施された。

精度評価については、確実性よりも取りこぼし防止を重視したRecall指標が採用され、課振分でRecall 60%、課室振分でRecall 65%の精度が達成された。今後は運用後のナレッジ量の拡充や質の強化により、一定の精度向上が可能であると見込まれている。将来的な改善余地としては、ナレッジの拡充・強化に加え、大規模言語モデルの活用による振分ロジックの改善可能性が示されており、経済産業省全体への展開に向けた効率的なデータ提供・作成方法についても検討されている。