令和4年度産業経済研究委託事業(グリーン社会の実現に資する競争環境整備のための調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、グリーン社会の実現に資する競争環境整備のための調査について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けた企業の取組が具体化される中、パリ協定に基づく気候変動対策をはじめとするサステナビリティに配慮した取組を競争政策上どのように考慮すべきかについて検討を行った。調査は温室効果ガス多排出産業を中心とした競争環境に関する実態調査と、国外のサステナビリティと競争政策に関する検討状況の調査から構成される。
調査対象として、トランジション・ファイナンスで示された技術ロードマップ策定7産業種のうち、化学、セメント、紙・パルプの3分野について、机上調査とヒアリング調査を通じて主要製品別の市場シェア等を調査した。その結果、多排出産業の一部では既に高い市場集中度となっており、将来的なカーボンニュートラルに向けた各種連携や業界再編が進んだ場合、高い市場シェアを有する競合企業同士の共同取組が増加する可能性が明らかとなった。
特に化学分野では、コンビナートなど一部地域に複数企業の工場が集中して立地しており、企業間連携に向けた取組が進展している。周南コンビナート脱炭素推進協議会、川崎カーボンニュートラルコンビナート形成推進協議会等の各地協議会において、燃料転換、原料転換・リサイクル、省エネ・高効率化に向けた共同の取組が検討されている。
