令和4年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(動静脈連携による自律型資源循環システム強靭化等に関する調査分析)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省による動静脈連携による自律型資源循環システム強靭化に関する調査分析について書かれた報告書である。現在の線形経済から循環経済への移行が世界的に進む中、我が国では「循環経済ビジョン2020」を策定したものの、サーキュラーエコノミーへの取組は限定的であった。一方で欧州は新循環経済アクションプランを基に戦略的推進を図り、ISO/TC323での標準化も加速している。カーボンニュートラルの機運やウクライナ情勢による資源供給不安を背景に、産業政策と経済安全保障の観点から資源循環経済政策の拡充が急務となっている。
本調査では、動脈産業と静脈産業のさらなる連携に向けて、電気電子製品、バッテリー、自動車、容器包装、プラスチック、衣類・繊維、食品、金属、太陽光パネルの9品目について循環構造の調査分析を実施し、動静脈物流解剖図を作成した。家電4品目では国内生産540万台に対し輸入2,200万台と大半が海外生産であり、年間2,300万台の排出のうち1,600万台が家電リサイクル法ルートで処理されている。しかし制度外の回収ルートでの不適正処理や、エアコンの低い回収率30%台といった課題が存在する。
各品目の循環構造分析から、設計段階では海外生産拠点への対応と環境配慮設計の促進、回収段階では適正ルートへの誘導と利便性向上、リサイクル段階では国内循環の強化といった課題と方向性を整理した。また、成長志向型の資源自律経済デザイン研究会を開催し、専門家による検討を実施している。さらに循環経済の都市モデル創出に関する実現可能性調査として、広島県、和歌山県、薩摩川内市、蒲郡市を対象とした調査を実施し、地域におけるサーキュラーエコノミーの取組定着に向けた具体的なアクションプランの検討を行った。
