令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(低コスト手法普及拡大に向けた電線地中化工法の実現可能性等調査)報告書
報告書概要
この報告は、電線地中化工法の低コストな実現可能性について書かれた報告書である。無電柱化推進法に基づく計画のもと、従来の掘削工法よりもコストを削減できる新たな手法として、山間部や歩行者の立ち入りが困難な場所における地上管路やトラフを活用した無電柱化工法の実現性について調査研究を行った。
海外調査では、カナダのアラスカ州やアルバータ州において歩道下への配線や地上に設置された電気設備の事例を確認し、日本の施設工事の低コスト化に資する技術的手法を把握した。国内では6.6kV埋設ケーブルの立ち上がり部分における亜鉛メッキ鋼管等の使用実績を調査し、これらの技術が地上施設の参考となることを確認した。
代表的な地中管路材の強度調査では、コンクリートトラフ、配管用炭素鋼鋼管、電力用管路材、角型多条敷設管、波付硬質合成樹脂管、強化可とう電線保護管について圧縮試験を実施した。コンクリートトラフのひび割れ荷重9.8kNを基準として、SGP管、ECVP、強化可とう電線保護管が同等の性能を有することが確認された。
掘削しない無電柱化手法におけるリスク検討では、公衆の安全確保のため電技第20条に基づき、感電や火災の恐れがない施設条件を検討した。除草や除雪による意図しない損傷、接続部からの水の侵入、高温・低温環境、紫外線による劣化、塩害による腐食、ケーブルの地絡や短絡の影響について深堀りが必要な項目を整理した。
コスト評価では、車道部の掘削工法と比較してガードレール外の地上施設により約29%から15%の費用抑制効果を確認し、登山道においても約36%から17%のコスト削減が見込まれることを示した。これらの結果により、特定の条件下における地上管路やトラフを活用した低コスト無電柱化工法の実現可能性が示された。
