令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(RFID活用による付加価値創出等検討事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、RFID活用による付加価値創出等検討事業について書かれた報告書である。本事業では、サプライチェーン全体における電子タグ普及のさらなる促進を目的として、メーカーから小売まで各段階でのRFID活用効果と課題を総合的に調査・検証した。まず、メーカーメリット創出に関する調査では、化粧品メーカー2社と医薬品メーカー2社に対してヒアリングを実施し、ソースタギングによる上流での電子タグ貼付を促進するため、卸・小売・家庭等で取得されるデータをメーカーが活用する可能性について分析した。また、小売における効果・付加価値創出の検討では、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアを対象として、物流センターおよび店舗でのRFID活用による作業時間削減や経費削減効果を定量的に算出した。さらに、実証実験として共同配送における物流センターから店舗への配送プロセスと、小売店舗における防犯対応でのRFID活用効果を検証した。共同配送実証では、EPCISを活用した情報管理システムとハンディ型RFIDリーダーにより、入荷検品や出荷検品作業の効率化効果を確認した。小売店舗実証では、スマートシェルフとRFIDレジを組み合わせることで、棚卸業務の負荷軽減と防犯業務の高度化を実現し、数十万円規模の効果を推計した。これらの調査結果から、電子タグの貼付率が高いほど活用効果が大きく見込めること、物流センターでは投資コストが抑えられる一方で店舗では効果がより大きいことが確認された。したがって、ソースタギングの実現には、メーカー・卸・小売が連携してRFID活用の環境整備と電子タグ貼付促進を同時に推進することが必要不可欠であると結論付けられている。