令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(サプライチェーンにおけるデジタル技術活用実態等調査)報告書
報告書概要
この報告は、流通・物流の効率化とデジタル技術活用に関する実態調査について書かれた報告書である。近年、流通業・物流業では少子高齢化による人手不足や人件費高騰、国際情勢の悪化に起因する原材料・エネルギーコストの高騰により運営コストが増大している状況にある。また、古い商慣習に基づくルールや、サプライチェーン上の物流・商流情報の可視化・共有化ができていないことを背景として、ムリ・ムダ・ムラが生じている問題も指摘されている。本調査では、これらの課題解決と業界を超えた製・配・販での効率化を推進するため、AIやIoT等のデジタル技術の活用実態と新たな技術活用の可能性について検討を実施した。調査は三つの項目で構成されており、第一にサプライチェーンにおけるAI・IoT等のデジタル技術活用実態調査として、製造業から小売業まで幅広い事例を収集・整理した。第二に消費財サプライチェーンにおけるデジタル技術の活用可能性に関する検討を行い、第三にデジタル技術を活用した新たなビジネス機会創出に関する分析を実施した。調査結果として、画像・映像解析、生産・需要予測、倉庫シェアリング、配送ルート最適化、サプライチェーン可視化等の技術により、様々な側面からサプライチェーンの効率化が進展することが期待されることが判明した。新ビジネス創出の観点では、小売店舗の販売データや消費者行動データから得られるインサイトと販売ノウハウをコアとした新たな価値創出の可能性が示された。しかし、多くの技術導入において、企業間での情報共有に対する抵抗感やデジタルデータ生成のための現場作業標準化の必要性など、単独企業では解決困難な課題も確認された。