令和4年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(RFIDに関するオペレーション・データの標準化)」報告書
報告書概要
この報告は、流通・物流業界におけるRFID技術の導入に向けたルール化について書かれた報告書である。少子高齢化による人手不足と人件費高騰、古い商慣習による非効率性、新型コロナウイルスによるEC需要拡大といった課題を背景として、RFID技術を活用した物流効率化と生産性向上を目指している。
事業は大きく二つの検討項目に分かれている。第一に物流資材に組み込まれたRFIDを活用する際のオペレーション・データのルール化である。パレットやカゴ車では既にRFIDの組込が始まっているが、オリコンやクレート等への導入は進んでいない状況にある。欧州では「スマートボックス」と呼ばれるRFID付きオリコンが開発され、外装ケース段ボールを代替する取組が始まっている。本事業ではスマートボックスに焦点を当て、メーカーから小売店舗に至る実証実験を加工食品と日用品の2パターンで実施した。さらにGS1ドイツにおける取組調査も行い、製・配・販荷主と物流事業者のオペレーション・データ管理のあり方を検討している。
第二に製造工程における個品へのRFID組込方法のルール化である。「容器事前貼付」と「製造ライン貼付」の2つのタイミングで実証実験を実施し、製造ライン貼付では「ロボットアーム」と「ラベラー」を使用する2パターンに分けて検証を行った。ロボットアームは多アイテム・小ロット製造に対応可能で貼付位置の柔軟性があるが高価である一方、ラベラーはロットがまとまる場合に優位性があり安価だが貼付位置が固定されるという特性の違いが明らかになった。製品メーカーでは RFIDタグの死活確認を入荷時と容器充填後の検品プロセスで行い、個品に貼付したRFIDのSGTINと製造ロット番号を登録管理する必要がある。
これらの実証実験と調査結果を踏まえ、RFID技術導入におけるルール化の方向性を整理し、流通・物流業界の効率化と付加価値創出に向けた基盤構築を図るものとなっている。
