令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)報告書

掲載日: 2023年7月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
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令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、RFID等のIoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減について書かれた報告書である。

流通・物流業界は人手不足による運営コスト高騰、古い商慣習による非効率性、サプライチェーン上の在庫情報の可視化不足により、返品や食品ロスの問題に直面している。さらに新型コロナウイルスによるEC需要拡大を背景として、IoT技術やデータを活用した店舗運営とサプライチェーンの効率化による生産性向上、新たな付加価値創出が重要となっている。

本事業では4つの実証実験を実施した。実証実験①では食品の個別在庫管理とダイナミックプライシングによる販売効率化を検証し、小売店舗における値引き対応の簡略化と人件費削減を確認した。実証実験②では余剰食品プラットフォームでのダイナミックプライシング活用による食品ロス削減効果を検証した。実証実験③ではスマートフォンアプリサービスによる食生活改善と食品ロス削減を実証し、約68%のモニターで食品ロスへの意識向上が確認され、廃棄量が25~35%減少した。実証実験④では健康状態の可視化やインセンティブ提供による健康的な活動促進と食品ロス削減を検証し、約82%のモニターで健康への意識向上が見られた。

効果検証の結果、サプライチェーン全体の効率化については、食品の個別在庫管理とダイナミックプライシングが人手不足や食品価格高騰、食品ロス削減という課題の解決手段として活用可能であることが確認された。ただし商品への期限情報のデジタル付加が不可欠であり、食品メーカーにとってのメリット明確化が課題である。食品ロス削減については、家庭系食品ロスの削減効果を確認し、健康等の新たな価値提供と組み合わせたサービスの可能性が示された。