令和4年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(半導体サプライチェーンにおける流通・物流構造に関する調査研究)

掲載日: 2023年7月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課物流企画室
委託事業者: Informa UK Limited
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報告書概要

この報告は、半導体サプライチェーンにおける流通・物流構造の課題について書かれた報告書である。半導体が産業のコメとして重要性を増す中、世界的な半導体不足によりサプライチェーン強靭化の必要性が再認識されており、半導体商社を中心とした業界の流通・物流における課題を定量的に明確化することを目的としている。

調査は半導体メーカ、商社、ユーザへのアンケート調査により実施され、5つの主要課題が抽出された。第一に困難な在庫コントロールであり、長い製造リードタイムと困難な需給予測が在庫リスクを拡大させており、コロナ禍により在庫リスクは更に上昇し、市場悪化により過剰在庫が急激に膨らんでいる。第二に物流コスト上昇が大きな課題となっており、コロナ禍や戦争により物流コストは従来の2~4倍に上昇している。

第三に販売経路の変化と商社の役割変化があり、日本では直販比率が上昇している傾向が見られる。第四に半導体物流プロセスにおける現状の問題点として、人手不足、半導体メーカに有利な契約形態、EDIシステム導入の困難さが挙げられている。第五に将来対応として、DX化導入、カーボンニュートラル推進、倉庫の自動化、トレーザビリティ対応が課題となっている。

これらの課題に対する対策として共同輸送、倉庫の共有化、システムやフォーマットの標準化が導き出された。しかし現状では各社がバラバラに対策を実施しており、業界としての統一的な対応は不十分である。世界での競争に打ち勝つためには業界一丸となった対策が必要であり、関係業界と検討・意思決定する場の設置が必要であるとの提言がなされている。