令和4年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ルール形成戦略に係る調査研究(鉄鋼・アルミの低炭素化に関するルール形成))

掲載日: 2023年7月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局金属課
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報告書概要

この報告は、鉄鋼・アルミニウム産業の脱炭素化に関するルール形成戦略について書かれた報告書である。近年、世界各国でカーボンニュートラルを目指す動きが加速する中、鉄鋼やアルミニウム分野においても脱炭素化に向けた国際的な議論が急速に進展している。COP26やG7等の国際会議では産業の脱炭素化が大きな課題として挙げられ、米国主導で産業脱炭素化アジェンダが立ち上げられた。また、2022年2月には経済産業省と米国商務省が鉄鋼・アルミニウム産業に関する共同声明を発表し、炭素強度の計算方法について議論することが示された。

本報告書では、米国、カナダ、EU諸国、中国、インド、韓国、オーストラリア等の各国政府による脱炭素化政策の方向性を詳細に調査している。米国では政権交代により政策が大きく変わったが、バイデン政権下でパリ協定復帰、インフラ法、インフレ抑制法の可決、バイクリーン政策の推進等が行われている。EUでは炭素国境調整メカニズムの導入、ドイツでは水素活用技術の開発、中国では生産能力制限と電炉転換等の施策が進められている。

民間企業の取組みでは、米国のNucor、U.S. Steel、ドイツのThyssenKrupp、Salzgitter、スウェーデンのSSAB等が水素還元技術、CCS・CCUS技術、電炉への転換、再生可能エネルギーの活用等を通じて脱炭素化を推進している。アルミニウム分野では、米国のAlcoa、カナダのAluminerie Alouette、ノルウェーのNorsk Hydro等が不活性陽極技術や再生可能エネルギーの活用により排出削減に取り組んでいる。業界団体や国際的イニシアチブでは、SteelZero、ResponsibleSteel、Aluminium Stewardship Initiative等が認証制度やガイドライン策定を進めている。標準化動向では、ISOにおいて排出量測定や製品品質に関する国際標準の策定が進められている。最終的に、日本が目指すべき方向として、定義の共通化の重要性と望ましいルールのあり方について提言がなされている。