令和4年度産業保安等技術基準策定調査研究等事業(産業保安に関連する課題に対する新たな解決アプローチ推進調査)報告書
報告書概要
この報告は、中小・中堅企業の産業保安力向上を目的とした簡易診断手法の開発と実効性向上について書かれた報告書である。令和4年度に特定非営利活動法人保安力向上センターが実施した調査研究事業の成果が記載されている。
産業保安に関連する災害発生件数は減少傾向にあるものの、生産現場においては人材不足や年齢構成のひずみ、設備の高経年化などの課題が存在している。中小・中堅企業では企業基盤の脆弱性により安全レベル向上への取組が十分でないため、現行の保安力診断の仕組みを代替する簡易診断手法の整備が求められていた。
本事業では実効性の高い簡易診断の仕組み策定として、昨年度作成したアンケート項目をDX等の技術革新に対応する項目や新たなリスク評価を反映して再整備した。化学プロセスの技術革新に対応する保安力評価項目の見直し成果を活用し、安全基盤と安全文化の業種ごとの事故リスクや組織構成を考慮して全業種共通項目と業種固有項目を策定した。評価段階を3段階から5段階に改定し、DXなど新規技術導入を想定したアンケート項目も策定した。
アンケート項目別に事故リスクと改善方策の紐づけを行い、高圧ガス保安協会の事故データベースや厚生労働省の重篤労災情報を活用して対象業種における保安事故・労災情報を解析した。生産現場の安全管理や事故調査の専門家が参加し、アンケート項目ごとの事故リスクと安全上の課題を整理した。センターの保有する参考事例や業界団体の良好事例集との紐づけにより、自主的改善を進めるための資料を作成した。
インタビュー指針策定では、アンケート項目の深掘りのための第三者によるインタビュー実施が望ましいとしながらも、社内でインタビューを実施する場合の効果的な質問と回答結果評価に関する手引きを策定した。簡易診断の試行では、54社57事業所を対象にアンケートを実施し、21社の中小・中堅企業経営層へのアンケートと6つの業界団体等へのヒアリングを行った。
国立研究開発法人産業技術総合研究所への再委託により、簡易アンケート結果を分析するための統計処理ツールを構築した。業種や会社規模、回答者の職階や年代による意識の差異を客観的に分析し、業界共通の課題抽出や自社固有の課題抽出に活用できるシステムとなっている。