令和4年度ポストコロナ時代における地域サービス系企業の競争力強化・労働生産性向上に向けた調査事業(地域経済産業活性化対策等調査)調査報告書(概要版)

掲載日: 2023年7月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 関東経済産業局産業部流通・サービス産業課
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報告書概要

この報告は、ポストコロナ時代における地域サービス系企業の競争力強化・労働生産性向上について書かれた報告書である。

関東経済産業局が実施した本事業は、日本のGDPの約7割を占めるサービス産業が少子高齢化や新型コロナウイルスの影響により深刻な課題に直面している現状を受けて開始された。特に対個人サービス業は生産と消費の同時性や市場の地理的制約により労働生産性の向上が困難であり、経営資源の乏しい中小企業にとって厳しい状況が続いている。

調査では下呂温泉観光協会、京都錦市場商店街、阿智昼神観光局など8つの先進事例について詳細なヒアリングを実施し、企業間連携や経営資源集約化による労働生産性向上の成功要因を分析した。これらの事例は地域内同業種連携、地域内異業種連携、地域外同業種連携、経営資源集約化の4つのパターンに分類された。

新潟県長岡市、佐渡市、静岡県磐田市の3自治体において支援プログラムのモデルテストを実施し、地域のサービス系企業の課題把握と支援策の試行を行った。各地域の特性とニーズに応じたプログラムを企画し、専門人材や企業との連携により実践的な支援を提供した。

調査結果から、企業間連携による労働生産性向上には段階的なプロセスが重要であることが判明した。まず企業の意識改革を促進し、次にコミュニティを形成し、最終的に牽引するキーパーソンを中心とした企業間連携を実現する必要がある。特にキーパーソンの存在は各セクター間の調整機能やマネタイズの観点を取り入れた具体的な取組を企画・実装する能力が求められるため極めて重要である。

企業間連携の促進においては地域資源活用型と課題解決型の2つの類型が提示された。地域資源活用型は観光資源や商業集積などの強みを活用して未来志向の方向性を見出すものであり、課題解決型は人口減少や競合の脅威など顕在化している課題の解決に向けて短期的な成果創出を目指すものである。