令和4年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(JCM実現可能性調査及びCEFIA国内事務局等業務)報告書
報告書概要
この報告は、二国間クレジット制度(JCM)を活用した脱炭素技術普及と温室効果ガス削減に関する令和4年度の実施報告書である。
本事業は、パリ協定に基づく我が国のNDCにおける2030年度46%削減目標の達成に向けて、途上国等への優れた脱炭素技術導入を通じた国際的な排出削減・吸収量の確保を目的としている。主要な取り組みとして、JCM実現可能性調査支援では脱炭素技術普及プロジェクト7件とCCUS案件形成プロジェクト3件を実施し、株式会社シーエムプラス、石油資源開発株式会社、株式会社IHI等の企業による具体的な技術導入案件を支援した。
CCUS分野においては、二酸化炭素の回収・利用・貯留技術の普及展開に向けて、法制度動向の把握、先進的なビジネスモデルの調査、排出削減メカニズムの検討、経済性分析を実施している。各国の政策動向では、米国のインフレ抑制法による税制控除、カナダの投資税額控除、EUのNet-Zero Industry Act等の支援制度が整備されており、技術の商業化が加速している状況が確認された。
CEFIA国内事務局運営では、ASEAN地域での脱炭素技術普及を目的として、RENKEI、ゼロ・エネルギー・ビル、製鉄エコソリューション、マイクログリッド、ファイナンスの5つのフラッグシッププロジェクトを実施した。第4回CEFIA官民フォーラムの開催やCOP27サイドイベントの実施を通じて国際的な連携を深め、APECへの貢献具体化に向けたコラボレーションロードマップの策定も行った。人材育成事業では、カタール、南アフリカ、UAEにおいて現地の技術者や政策担当者を対象とした研修プログラムを実施し、各国の脱炭素化推進に必要な知識と技術の移転を図った。これらの取り組みにより、官民連携による2030年度までの累積1億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量確保に向けた基盤整備が着実に進展している。
