令和4年度副業・兼業人材の中小企業での活用促進に向けた知的財産課題等調査事業研究会報告書

掲載日: 2023年7月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局地域経済部地域経済課
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報告書概要

この報告は、中小企業における副業・兼業人材の活用促進と知的財産課題について書かれた報告書である。

コロナ禍の影響により副業・兼業人材は700万人台から800万人台へ急増し、約4割がコロナ禍を契機として開始したものの、収束後も約9割が継続意向を示している。中小企業では新事業開発やDX化等の経営課題に対応できる専門人材の確保が急務となっており、大企業従業員やフリーランス等の副業・兼業人材活用が注目されている。

本調査では企業成長につながる副業・兼業人材活用促進を目的とし、「受入企業」「越境人材」「送出企業」の三位一体エコシステムによる視点で分析を行った。越境人材とは送出企業と受入企業の間を自由に移動するミドル・シニア層の人材と定義し、企業と人材の相互成長サイクルの存在を仮定した。

現状は副業・兼業普及の初期段階にあり、一部企業を中心とした活用が進展している。受入企業側では副業・兼業人材の活用に関する心構えや業務の切り出し方法、人材側では受入企業への寄り添い姿勢や中小企業特有の事情への理解といった課題が存在する。送出企業においてはルール整備は完了したものの運用実績が伴わない状況となっている。

成果物の知的財産権等権利関係については、現在はプラットフォーマーの契約雛形に依拠しており、権利関係が不明確なケースが多く、将来的なリスク・トラブル増加が予測される。成熟期に向けては契約リスクの周知や見える化、信頼性を担保する仕組み作りが必要である。

副業・兼業のさらなる普及拡大には、国や自治体、地域金融機関等の支援機関やプラットフォーマー等多様なプレイヤーが連携し、受入企業と送出企業の裾野拡大を同時に進める三位一体エコシステムの構築が求められる。