令和4年度化学物質安全対策(フロン類及び指定製品の製造業者等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度化学物質安全対策におけるフロン類及び指定製品の製造業者等に関する調査について書かれた報告書である。本調査は、地球温暖化対策としてフロン類の削減を目的とし、モントリオール議定書キガリ改正により先進国は2036年までにHFC生産消費量を85%削減することが求められている背景のもとで実施された。主要な検討項目として、微燃性・可燃性冷媒の安全対策、指定製品の達成状況フォローアップ、冷媒需給状況の把握、GWP見直しに係る使用見通し検討が挙げられている。特に注目されるのは、AGCが開発したHFO冷媒AMOLEA1123であり、現在使用されているR410Aと同等性能を維持しながらGWP1以下という優れた環境性能を有している。東京大学との共同研究により、プロパン添加によってAMOLEA1123の安全性を向上させた組成開発に成功し、GWP10以下の超低GWP冷媒実現に向けて大きく前進した。業務用冷凍空調機器の使用時漏えい対策については、遠隔監視サービスが提供されているものの、管理者側での導入が進まない課題が指摘されている。これは法令義務の浸透不足や、サービス効果が費用削減として見えづらい点が要因となっている。今後の政策方向性として、フロン排出抑制法の周知徹底と、管理者が実感できる財務効果を示すエビデンス作成が必要とされている。
