令和4年度東北地域における地域一体型オープンファクトリー等を中心とした地域企業群の「予定調和のない共創」を繋ぐ「ナレッジシェア・ポート(知識移転の場)創出」実証事業 報告書
報告書概要
この報告は、東北地域における地域一体型オープンファクトリーを中心とした企業群の「予定調和のない共創」を促進するための「ナレッジシェア・ポート(知識移転の場)」創出実証事業について書かれた報告書である。近年、関西を中心に中小企業が主役となる地域一体型オープンファクトリーが各地で誕生し、これらの取組において「産地の顔」と呼ばれるキープレイヤーが共鳴し合う場がイノベーション・エコシステムの源泉となっていることが判明している。本事業では、東北地域において企業、業種、商流の壁を越えて地域一体となって魅力発信に取り組む「企業群」における「越境人材」同士が出会う「ナレッジシェア・ポート」を実証的に創出し、越境人材がさらに産地・地域の壁を越境することで生まれる変化について考察を行った。具体的な実証調査として、岩手県二戸市と福島県郡山市において「東北オープンファクトリーフォーラム」を開催し、関東・関西のキープレイヤーと東北のキープレイヤーを交えて「『魅せる』ことで地域に生まれる変化や新たな価値を探る」をテーマとしたパネルディスカッションや基調講演を実施した。また、現地研究会(ヒューマン・ビジット)を通じて、参加者同士による直接的な意見交換と相互学習の機会を提供した。実証結果からは、越境人材同士の交流により、参加者の意識変化やリテラシー向上、地域への愛着醸成、新たな価値創造への意欲向上などの効果が確認された。特に、楽しみながら取り組むことや心理的安全性の確保、小さくてもまず始めることの重要性が明らかとなり、東北地域における地域一体型オープンファクトリーの取組機運醸成に向けた具体的な方向性が示された。