令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託費(カーボンニュートラル実現に向けたFCV走行調査及びFCV給電による燃料消費等調査の実施)調査報告書

掲載日: 2023年7月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局資源エネルギー環境部資源エネルギー環境課
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令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託費(カーボンニュートラル実現に向けたFCV走行調査及びFCV給電による燃料消費等調査の実施)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、北海道室蘭市における厳冬期のFCV(燃料電池自動車)の実用性に関する調査について書かれた報告書である。調査では水素ステーション及びFCVを早期導入した室蘭市をフィールドとして、TOYOTA MIRAIを用いた走行試験と外部給電による燃料消費調査を実施し、厳冬期条件下での日常生活における稼働結果を検証することで、北海道における燃料電池自動車の需要創出と水素充填インフラの整備促進を図ることを目的としている。FCV走行調査では令和5年3月7日から8日にかけて、室蘭から札幌、小樽、積丹、倶知安、豊浦を経由して室蘭に戻る約400kmのルートで実施された。外気温3℃から14℃という例年より高い条件下で、エアコンを25℃で継続使用しながら394km走行し、水素燃料消費量3.28kg、燃費120.1km/kg-水素を記録した。水素満タン状態の5.6kgで約672kmの走行が可能であることが確認され、登坂区間では燃費が悪化し、平坦な一般道走行が最も燃費効率が良いことが判明した。FCV給電調査では令和5年2月28日に室蘭市白鳥台集会所で実施され、ニチコン製外部給電器を介して1,500W×3口の家電に給電した。平均気温7.2度の条件下で10時間の給電を行い、水素燃料消費量1.18kg、約12.6kWh相当の電力を供給した。これはMIRAI最大容量の2割程度であり、消費電力の大きい家電を分散使用すればFCVと外部給電器により災害時でも数日間の通常生活が可能であることが実証された。調査結果から電気ストーブの消費電力が特に高いため灯油ストーブとの併用が効果的であり、調理用家電は稼働時間をずらすことで通常の調理が十分可能であることが確認された。