令和4年度地域経済産業活性化対策等調査事業(地域における洋上風力産業の在り方について) 調査報告書
報告書概要
この報告は、東北地方における洋上風力産業の在り方について書かれた報告書である。日本は2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化を目指しており、2030年度に電力量の36~38%を再生可能エネルギーで賄う計画である。洋上風力については2030年に10GW、2040年に30~45GWの導入目標が設定されている。東北地方は豊富な導入ポテンシャルを持ち、2030年の導入目標は407~533万kWとなっている。再エネ海域利用法により海域の段階的整理が進められ、東北地域では促進区域4海域、有望な区域3海域、準備段階区域2海域が選定されている。洋上風力発電は調査、設計・工事、運営、撤去の各段階で大きな経済波及効果をもたらし、地元企業への業務発注や委託を通じて地域経済の振興が期待される。青森県や秋田県などの東北各県は独自の戦略やビジョンを策定し、洋上風力促進に取り組んでいる。一方で国内サプライチェーンの構築、港湾設備の整備、専門人材の育成といった課題が存在する。現在は風車本体の国内生産がない状況であり、官民連携による産業基盤形成が急務である。秋田県では地元製造業を中心とした産業クラスター形成が進んでおり、人材育成道場の設立や教育機関でのカリキュラム導入など、課題解決への取り組みが見られる。AIやIoT技術の活用により建設・メンテナンスの効率化や省人化が期待されており、音響による損傷検出技術やスマートネジによる遠隔監視、ローカル5Gを活用したドローン画像解析などの技術開発が進められている。東北地域は豊富な導入ポテンシャルと大きな経済波及効果により洋上風力発電の発展が期待される地域であるが、産業基盤形成と人材育成という課題を官民連携により解決していくことが重要である。
