令和4年度地域経済産業活性化対策等調査事業(地域における洋上風力産業の在り方について) 報告書(概要版)
報告書概要
この報告は、地域における洋上風力産業の在り方について書かれた報告書である。我が国の風力発電導入量は2022年末時点で約480万kWであるが、洋上風力発電は約13.5万kWと微小な状況にある。都道府県別では青森県、秋田県等の東北地方に多く分布しており、2030年、2040年の国の導入目標では東北地方がそれぞれ533万kW、590~900万kWと全体目標の大部分を占めることが予想される。
洋上風力導入において重要な役割を果たすのが再エネ海域利用法であり、都道府県の協力を得ながら海域を段階的に整理・指定し、促進区域において事業者公募が実施される仕組みとなっている。洋上風力産業による経済波及効果は建設段階で2050年までの累積34兆円、運営段階で2050年時点9,409億円に達し、それぞれ年間3~7万人、3万人余りの雇用創出効果が見込まれている。また調査、設計、保守・メンテナンス等の各事業フェーズにおいて地元企業への外注可能性が高く、漁業や観光業においても洋上風力を活用した事業創生により間接的経済波及効果が期待される。
地域企業の風力産業参入に向けては、設置工事やO&M等への関与が不可欠であり、港湾設備整備や人材育成等の官民挙げた取組が進められている。東北地域では認定トレーニングセンターの設立や能代港、秋田港等での拠点港整備が推進されている。洋上風力サプライチェーンの各段階においてコスト低減と技術高度化を図り、産業の内製化を計画しており、先行地域である秋田県でのクラスター形成から全国・アジア市場への展開を視野に入れている。
IoT技術やローカル5Gの活用により、ドローンを用いた日常点検の自動化やモニタリングシステムによる故障予兆診断等のO&Mフェーズでの課題解決が図られている。東北地域は大きな導入ポテンシャルを有し、豊富な経済波及効果が期待される一方で、国内サプライチェーン構築や人材育成等の課題も存在するため、官民連携による支援策実施が求められている。
