令和4年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(電気用品安全法の製品安全性等調査確認)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業における電気用品安全法の製品安全性等調査確認について書かれた報告書である。主としてポータブル電源の国内外における流通状況、規制の現状、事故発生状況について包括的に調査分析を行っている。
国内のポータブル電源市場は急速に拡大しており、2022年の出荷台数は115万1千台と推定され、今後も継続的な成長が予測されている。世界的にも同様の傾向が見られ、特に北米およびアジア地域での需要が高い。現在、日本においてポータブル電源は電気用品安全法の規制対象外であるが、充電用ACアダプタは特定電気用品の直流電源装置として規制されている。
事故状況については、NITEに報告された重大製品事故および非重大事故ともに年々増加傾向にあり、すべて火災事故である。人的被害は軽症1人のみであったが、製品焼損や周囲への延焼といった物的被害が発生している。事故原因は電池セルの異常発熱やバッテリーの内部短絡による異常発熱が想定されているが、明確な原因特定には至っていない。
海外の規制状況では、米国では連邦政府による安全認証制度は存在しないが、NRTL認証が実質的な認証プログラムとして機能しており、ポータブル電源にはUL2743規格が適用されている。欧州では低電圧指令およびEMC指令の適用を受け、EN62368-1をはじめとした整合規格が適用される。
調査結果を踏まえ、リチウムイオン蓄電池搭載によるポータブル電源の電気的リスクに対応するため、出力端子からの逆充電、電池セルの内部短絡、分解・誤組立、水気浸入、電池セルの異常発熱といったリスクシナリオを検討し、電気用品安全法における技術基準への適合可能性について分析を行った。
