令和4年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(2025年大阪・関西万博におけるネガティブエミッション技術等の在り方に関する調査事業)調査報告書

掲載日: 2023年8月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課地球環境対策室
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令和4年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(2025年大阪・関西万博におけるネガティブエミッション技術等の在り方に関する調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、2025年大阪・関西万博におけるネガティブエミッション技術等の在り方について書かれた報告書である。

報告書は、パリ協定を背景とした地球温暖化対策の国際的枠組みの中で、日本が2050年カーボンニュートラル実現を目指す宣言を受け、大阪・関西万博を革新的環境イノベーション技術のアピール機会として位置づけている。同万博では、ネガティブエミッション技術(DACCS)やカーボンリサイクル技術の実証プラントを設置し、脱炭素社会の在り方を世界に示すことを目的としている。

カーボンニュートラル実現に向けた検討では、基本分科会において、博覧会協会の脱炭素ワーキンググループが進めるGHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量算定方法について検討された。同プロトコルでは、Scope1・2として会場内施設・設備や参加国パビリオンの排出量を算定し、Scope3として来場者の移動・宿泊等も含める方針である。会場内施設・設備のScope2は約2万3千トン、Scope3は来場者関連を含め約411万トンと推計されている。削減対策として、省エネルギー、再生可能エネルギー電力の利用、バイオディーゼル等の活用が検討されており、一部はクレジット購入による対応も計画されている。

カーボンリサイクル技術の発信については、展示方法分科会において実証プラントエリアの具体的な展示計画が検討された。熱供給処理施設隣接地の約1200平方メートルの敷地に、RITE、大阪ガス、CO2分離・回収担当企業による実証実験設備を配置し、EVバスによる来場者の移送システムを構築する。見学施設は約160平方メートルで、最大72,000人の受け入れを想定している。展示コンセプトとして、実証設備全体の俯瞰、実機と映像の融合、CO2の流れの見える化、子どもたちへのインパクト、実証プラントエリアでのカーボンニュートラル実現の5項目を掲げている。

見学者への説明は、映像プレゼンテーションと実機見学の2段階で構成され、VR・MR技術を活用してCO2の分離・貯留プロセスを可視化する計画である。今後の課題として、九州大学・名古屋大学によるDAC実証プラントのレイアウト反映、騒音ガイドラインへの対応、広報活動や運営体制の詳細化等が挙げられている。