令和4年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(高圧ガス設備耐震設計手法のさらなる高度化に向けた調査研究)報告書
報告書概要
この報告は、高圧ガス設備の耐震設計手法のさらなる高度化について書かれた報告書である。令和4年度に実施された調査研究の成果をまとめたもので、1995年兵庫県南部地震以降の大規模地震の頻発を受け、高圧ガス関連設備の耐震性確保が国土強靭化の重要課題として位置づけられる中、平成30年に制定された新耐震告示の性能規定化に対応したサイトスペシフィックな耐震設計方法の高度化を目的としている。報告書では液状化地盤中の杭基礎及び耐震設計設備の地震時挙動評価として、応答変位法の課題整理と既往研究の文献調査を実施し、相互作用地盤ばねや外力設定方法に関する知見を収集するとともに、簡易解析手法・モデルの構築に向けて1次元地盤応答解析、3次元FEM地震応答解析、梁ばねモデル解析を実施した。サイトスペシフィック地震動を適用した耐震設計に関する検討では、京浜、四日市、堺・高石の3つのコンビナート地区を対象として、各地区の代表地点の検討、地震学的・地質学的情報の整理、対象地震の選定、強震動予測手法によるサイトスペシフィック地震動の算定を行い、標準波の設定を実施した。高圧ガス設備のレベル2耐震性能評価法の見直しに関する検討においては、応力解析規定の適用例検討、ノズル部評価の取扱い方針、接合部評価、許容塑性率評価としての球形貯槽プッシュオーバー解析手法のプログラム化、平底円筒形貯槽の動液圧算定方法の見直しについて検討を行った。その他の検討項目として、液状化対策方法に関する地下水低下工法の適用事例調査、基礎の崩壊が耐震設計構造物の気密性保持に及ぼす影響検討、サイトスペシフィック地震動を適用した耐震設計体系の確立に向けた検討、免震・制振技術に関する検討を実施し、今後の高圧ガス設備の設計体系の方向性として信頼性設計法の導入可能性についても言及している。
