令和4年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(インドネシア国・鉄道におけるDX推進のためのデジタルツイン導入に関する調査事業)成果報告書

掲載日: 2023年8月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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令和4年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(インドネシア国・鉄道におけるDX推進のためのデジタルツイン導入に関する調査事業)成果報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、インドネシア国の鉄道におけるデジタルトランスフォーメーション推進のためのデジタルツイン技術導入に関する事業実施可能性調査について書かれた報告書である。

調査は経済産業省の委託により日本コンサルタンツ株式会社と東日本旅客鉄道株式会社が実施し、インドネシア国の鉄道事業者へのデジタルツイン技術とDXソリューション導入の実現可能性を検討した。インドネシア国では人口増加と経済発展に伴い公共交通の需要が急増しており、特にジャカルタ周辺では交通渋滞による経済損失が深刻な問題となっている。現地の主要鉄道事業者であるMRTJ、KAI、KCIは部分的なデジタル化を進めているものの、プロセス全体のデジタライゼーションやDX導入については検討段階にある。

日本では国土交通省とJR東日本が鉄道DXの推進に取り組んでおり、3次元点群データを活用した施設点検システム、デジタルツインプラットフォーム、位置情報や映像を活用した各種DXソリューションが実用化されている。これらの技術をインドネシア国に適用するため、同国のDX施策や法令、インターネット環境、衛星データ活用状況を詳細に調査した。

調査結果として、インドネシア国3Dマップ構築支援事業とデジタルツインプラットフォームサービス提供・DXソリューション開発事業の二つのビジネスモデルを提案している。前者は日本の国産衛星データを活用した地理空間情報整備、後者は鉄道沿線地形の詳細化、位置情報活用、映像解析などのソリューション提供を含む。実施体制としてはSaaS形式での現地展開を想定し、JICA民間連携事業やJETROの支援活用を検討している。

提案するビジネスモデルは、インドネシア国の鉄道事業者の安全性とサービス向上に大きな効果をもたらすとともに、日本の鉄道技術の優位性を示し、東南アジア諸国における鉄道DXプラットフォーマーとしての地位獲得につながる可能性がある。同時に公共交通分担率改善による経済損失削減と大気汚染改善など、インドネシア国の国家施策にも貢献することが期待される。