令和4年度産業経済研究委託事業(産業競争力強化法に係る各種制度の政策効果に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度に実施された産業競争力強化法に係る各種制度の政策効果に関する調査について書かれた報告書である。
産業競争力強化法等の一部改正法の成立を受け、経済産業省が事業適応計画や事業再編計画、オープンイノベーション促進税制などの産業競争力強化施策について政策効果の検証を実施した。本調査では、事業適応計画(成長発展事業適応)、事業適応計画(情報技術事業適応)、事業再編計画、オープンイノベーション促進税制の4つの施策を対象とし、ロジックモデルの作成と効果検証を通じて政策効果の分析を行った。
調査手法として、まず類似施策の文献調査を実施し、各制度が目指す効果をアウトカムとして設定した。その上で、制度の支援措置から最終的なアウトカムまでの関係性を整理・可視化したロジックモデルを構築した。効果検証では、一次効果、二次効果、三次効果に分けて評価指標を設定し、それぞれについて定量分析を実施した。
成長発展事業適応については、ROAや投資額等の目標設定指標を用いて非制度利用企業との比較分析を試みたが、調査期間中に事業適応計画の終了を迎える企業がないため、主に評価手法やロジックモデルの検討に留まった。情報技術事業適応についても同様に、ROA等のKPIを用いた比較評価手法の検討を行った。事業再編計画では、制度利用企業の生産性向上効果について実績ベースでの分析を実施した。
オープンイノベーション促進税制については、制度がスタートアップ投資額の促進に与える影響と、投資が出資企業の競争力向上に与える効果の二つの観点から分析を行った。既往研究のレビューを通じて、研究開発税制の効果検証手法を参考とし、制度利用有無をダミー変数とした回帰分析モデルを構築した。二次効果としては、制度利用企業の収益性向上や企業価値向上を評価指標として設定し、業種や企業規模をコントロール変数とした重回帰分析の実施方法を検討した。本調査は今後の政策効果検証の在り方と手法改善に資する基礎的な分析枠組みを提供している。
