令和4年度燃料安定供給対策に関する調査事業(石油産業に係る環境規制等に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度に実施された石油産業に係る環境規制等に関する調査事業について書かれた報告書である。
世界のエネルギー戦略は将来的な脱炭素・脱化石燃料を目指すカーボンニュートラル社会の実現に向かっているが、エネルギー・トランジション期においては石油を中心とした化石燃料の重要性が再認識されている。本調査事業では、欧米を中心にアジア地域も含めたエネルギー・トランジション期におけるGHG削減を伴った石油精製事業の動向分析を実施した。
調査内容は6つの主要項目から構成されている。第一に、海外主要国における石油精製業の事業に影響を及ぼす政策・規制動向および各石油関連企業の動向調査では、欧州、米国、中国、インドなどの政策動向を地域別に調査し、日本の石油産業の脱・低炭素化戦略を検討した。第二に、国際海運のカーボンニュートラルに向けた動向および石油精製事業への影響調査では、IMOによる2050年までのGHG排出量半減目標に関する議論や将来の船舶燃料について分析した。
第三に、合成燃料製造技術とその将来性に関する調査では、カーボンニュートラル実現の切り札として期待される次世代液体燃料e-fuelについて、欧州を中心とした開発・導入状況を調査した。第四に、次世代輸送用液体燃料の最新動向調査では、バイオ燃料を中心とした持続可能な石油代替燃料について、各輸送部門の規制動向を踏まえた研究・開発動向や生産体制を調査した。第五に、海外主要国における石油精製業に関する環境規制・燃料油品質規制動向調査を継続的に実施し、第六に、収集した情報を国内石油産業の維持・強化を目的として定期的に発信した。
調査方法としては、欧州、米国、中国への調査員の長期派遣による現地企業・団体・研究機関・政府への直接的なヒアリング、学会やセミナーへの参加、インターネット・文献等による調査を実施した。調査期間は令和4年4月1日から令和5年3月31日までであり、国内石油産業のカーボンニュートラル社会への適応と国際競争力の維持・向上のための政策立案に役立てることを目的として実施された調査事業である。