令和4年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業委託費(気候変動対策に係る国際会議の開催等によるエネルギー・環境技術イノベーション創出のための国際連携推進事業(技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業))成果報告書
報告書概要
この報告は、技術革新によるエネルギー需要変化に関するモデル比較国際連携事業について書かれた報告書である。地球温暖化対策の緊急性が高まる中、パリ協定の実施やIPCC第六次評価報告書の完成を受けて、各国の気候変動対策が急速に進展している状況において、低エネルギー需要(LED)シナリオの国際的な研究が重要性を増している。本事業では、国際応用システム分析研究所(IIASA)を中心に開発されたAI等の技術進展や社会変化を伴う低エネルギー需要シナリオに基づき、技術革新がもたらすCO2排出量削減やエネルギー需要の変化について定量的かつ包括的な調査、分析、評価を実施した。欧州、米国、アジア、中南米の主要研究機関と連携し、エネルギー需要サイドの変化に関する比較研究を行い、LEDシナリオの国際研究コミュニティにおける位置づけを主流化することができた。具体的には、デジタルトランスフォーメーションによるサーキュラーエコノミーやシェアリングエコノミーの分析、建築・運輸・産業部門における需要側技術革新の評価、高速鉄道と民間航空の低炭素開発、南アジア経済のエネルギー持続可能性評価などの研究が実施された。これらの成果は学会発表や論文執筆を通じてIPCC報告書へのインプットを目指しており、多くのIPCC執筆者が参加した国際ワークショップの開催により、今後の国際的な気候変動研究への影響が期待される。本事業により構築されたLEDシナリオの国際研究コミュニティは、エネルギー需要部門の分析に関する情報交換と研究内容の共有を継続し、更なる位置づけの主流化を図っている。
