令和4年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(国内外におけるメタネーション事業実現等に向けた在り方に関する調査)報告書(公表用)
報告書概要
この報告は、メタネーション事業実現に向けた国内外の政策・制度動向について調査した報告書である。我が国の産業・民生部門の消費エネルギーの約6割を占める熱需要の脱炭素化において、電化による対応が困難な高温域の存在により、ガスの脱炭素化が重要な役割を果たすとしている。グリーン成長戦略や第6次エネルギー基本計画では、合成メタンを中心とした水素、バイオガスなど多様な選択肢を追求する方針が示されており、海外から大規模に合成メタンを供給する海外メタネーションと国内工場等から回収されたCO2をオンサイトで合成メタンとして利用する国内メタネーションの両方のケースが検討されている。
欧米の政策動向調査では、EU再生可能エネルギー指令(RED)の改正動向を詳細に分析している。REDⅢ案では2030年の再エネ導入目標を40%に引き上げ、RepowerEU計画ではさらに45%への引き上げが提案されており、運輸部門におけるRFNBO(非バイオ由来再生可能燃料)導入目標や産業部門の再生可能水素導入目標の新設が含まれている。合成メタンは再生可能水素を用いて生産される場合、RFNBOとして位置づけられ、各部門の再エネ導入目標に適用可能である。RFNBOの再エネ基準では、追加性、地理的相関性、時間的相関性の厳格な基準が設定されている。
国際組織の動向調査では、GHGプロトコルの土地セクター・除去ガイダンスにおける炭素除去の算定方法論や、国際海事機関(IMO)の気候変動対策議論を整理している。IEA関連レポート調査では、水素、バイオガス、CCUSの各分野における技術進展と政策動向を分析し、2030年に向けた低炭素水素供給量の拡大予測や地域別の展開状況を明らかにしている。
カーボンリサイクル燃料関連のプロジェクト調査では、欧州を中心とした合成メタンおよびその他のカーボンリサイクル燃料の実証プロジェクトの現状を整理している。ERGaRなどの認証・証書制度調査では、欧州各国におけるガス原産地証明(GO)制度の運用状況と課題を分析し、再生可能ガスの証書取引システムの発展状況を明らかにしている。最後に、メタネーション推進官民協議会の事務局運営として、海外メタネーション事業実現タスクフォースと国内メタネーション事業実現タスクフォースを通じて、事業者の取組紹介や推進に向けた論点整理を実施している。
