令和4年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(電気設備技術基準関連規格等調査)報告書
報告書概要
この報告書は、令和4年度の産業保安等技術基準策定研究開発等事業における電気設備技術基準関連規格等調査について書かれた報告書である。本調査の主要目的は、電気設備の技術基準の解釈で引用している規格の改正に対する妥当性調査と、再生可能エネルギー導入拡大や配電事業者制度開始に伴う新規事業者参入を踏まえた保安要件の明確化である。調査対象は計14規格であり、JIS C 3660-1-4やJIS C 3667等の電力ケーブル関連規格、JIS G 3112等の鉄筋コンクリート用棒鋼規格、JIS B 1051等の締結用部品規格、さらにIEC 61241-14等の防爆構造関連規格が含まれている。調査実施体制として、東京大学の大崎博之委員長をはじめとする学識経験者と電気事業者等から構成される委員会を設置し、本委員会の下に幹事会、発変電作業会、配電作業会等の専門的作業組織を配置した。調査内容は改正規格の技術的内容確認と解釈条文への引用妥当性評価、民間規格評価機関による省令適合性確認要請、無効電力補償装置や電力保安通信用設備の定義明確化、常時監視しない変電所における信号伝送経路の検討等が実施された。特に電力保安通信用電話設備については、技術進展による通信環境高度化を踏まえた保安要件の実態調査が行われ、分散型電源設置者と一般送配電事業者間の連絡体制における電話設備施設要件の見直しが検討された。調査結果として、改正規格の継続引用妥当性が確認され、解釈条文の改正案が提示されるとともに、新規事業者の保安業務経験不足を考慮した保安要件明確化の必要性が示された。