令和4年度産業経済研究委託事業(EBPM 視点に基づく、RESAS 活用等による地域活性化施策の効果検証調査)報告書

掲載日: 2023年8月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局総務企画部企画調査課
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令和4年度産業経済研究委託事業(EBPM 視点に基づく、RESAS 活用等による地域活性化施策の効果検証調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、EBPM(エビデンスに基づく政策形成)の観点からRESAS(地域経済分析システム)を活用し、北海道道東地域、特に釧路市における観光産業・食関連産業の地域活性化施策の効果検証について書かれた報告書である。

人口減少により縮小する政策資源を有効活用するため、日本ではEBPMが推進されているが、必要データの不足やノウハウの欠如等により意義ある効果分析ができないケースが多く、RESASの利活用においても改善の余地があるとされている。本調査では、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が特に顕著な観光産業・食関連産業を主な検討領域とし、RESAS活用による人流分析、定量的な経済効果分析、企業等データとのクロス分析等を実施した。

調査対象として、北海道経済産業局が令和2年度から道内地域中核都市5市と締結した地域経済活性化に係る覚書に基づき、宿泊業及び飲食サービス業の特価係数や観光入込客数が最も大きい釧路市及び道東地域を選定し、今後の連携施策の効果的展開を検討した。分析では、道東中核都市の観光・食関連産業の動向として企業数・事業所数、従業者数、売上、付加価値額・付加価値率、労働生産性等を調査し、観光関連の人流動向や観光客消費動向についても詳細に分析を行った。

釧路市については「EBPM地域活性化連携モデル」の検討を行い、金融機関データによる飲食業・宿泊業のモデル分析、外国人観光客のアジア圏・欧米豪圏の観光行動比較分析、国内観光都市・AT先進都市の事例研究等を実施した。分析結果から、釧路市の飲食店は2012年から2016年にかけて高い成長率を記録したものの、地元資本の中小事業者が廃業し市外資本等の大規模事業者が生き残る状況が見受けられ、観光客増加の効果を十分に享受できなかった事業者がいることが判明した。

AT(アドベンチャートラベル)観光客の主体である欧米豪圏の観光客は、訪問地の歴史・文化に対する関心が強く、食のストーリー性を求める傾向があり、釧路市には地域の歴史・文化に根差した名物料理や地域特有の食材があることから、これらのニーズに対応できるポテンシャルを有している。ATWS(アドベンチャートラベル・ワールドサミット)の開催では欧米豪圏のAT関係者が多数訪れることから、釧路市の食文化を体感させる好機であり、AT観光客の飲食需要を取り込むことで地域経済の活性化が期待される。