令和4年度電動化シフトを踏まえた地域自動車部品サプライヤーの技術力・開発力向上に向けた動向調査報告書(公表版)
報告書概要
この報告は、電動化シフトを踏まえた地域自動車部品サプライヤーの技術力・開発力向上に向けた動向調査について書かれた報告書である。
背景として、2050年カーボンニュートラル宣言に伴う自動車産業の電動化加速により、純粋なエンジン車から電動車への移行が予想されている。政府は2035年までに乗用車新車販売で電動車100%の実現を目標として掲げており、これに伴い電動化の影響を受ける地域自動車部品サプライヤーの事業転換支援が求められている。
調査では文献調査とヒアリング調査を通じて、電動化による自動車部品への影響、技術領域、開発動向を分析した。特に大手・中堅・中小それぞれの自動車部品サプライヤーが様々な模索をしながら電動化対応を進めていることが判明した。電動化により新たに置き換えられる部品として電池、モーター、インバーター等があり、既存部品でも軽量化、高剛性化、静粛性向上等の技術的高度化が求められている。
サプライヤーの電動化対応における課題として、強固なピラミッド構造によるサプライチェーンにおける情報の非対称性が挙げられる。大手部品メーカーと中堅・中小部品メーカーでは電動化に関する保有情報に格差があり、最適なビジネスマッチングが十分に行われていない状況である。
支援策として、まず情報の非対称性を解消するため、データベース化やセミナーを通じた情報提供が重要である。資金的支援については、サプライヤーが電動化対応に踏み出すトリガーとなる設備更新等への補助金交付が有効であるが、サプライヤー側で的確な自社分析ができていることが前提となる。また、企業間マッチングの場の提供により、少ない行政コストで新規ビジネス創出の効果が期待できる。
政策評価の観点から、効率性、経済性、公平性を考慮した支援策の検討が必要である。サプライチェーン構造を踏まえ、完成車メーカーや上位企業には率先した電動化対応を要請し、中堅・中小サプライヤーには技術的に中立で多様なプログラムを提供することが重要である。最終的に、サプライヤーの電動化対応力の程度に応じて、資金的支援とそれ以外の支援を組み合わせながら濃淡をつけた支援を実施していくことが求められる。
