令和4年度化学物質安全対策(化学物質管理の信頼性確保のための調査)調査報告書

掲載日: 2023年8月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課化学物質安全室
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報告書概要

この報告は、化学物質安全対策における化学物質管理の信頼性確保について書かれた報告書である。

OECD加盟国間での化学品安全性試験データの相互受入を促進するMAD制度において、我が国の化学物質GLP制度の信頼性向上を目的として調査検討が実施された。2023年秋頃に予定されているOEV現地評価査察に向けた準備として、我が国のGLP制度における課題の分析と対策の検討が行われた。

主要な検討事項として、まずOECD GLP文書との整合性に関する課題が挙げられる。2020年以降に追加されたOECD文書との整合性確認や、OECD加盟国等への通報手順の明確化について検討された。特にデータインテグリティの導入やQA部門のリスクベースドアプローチの採用など、国際基準に合わせた制度改善が必要であることが明らかになった。

次に、我が国特有の課題として、経済産業省、環境省、厚生労働省の3省が監視機能を分担する複雑な運用体制における整合性確保の問題が検討された。査察官の要件や教育訓練、秘密保持誓約書の取扱いなど、監視当局間での運用統一化が重要な課題として位置づけられた。国際的にも稀な複数監視当局体制において、同一性確保は信頼性保証の根幹をなすものである。

さらに、OEV準備として事前提出資料の取りまとめが実施された。テンプレート案の作成、関係規程類の整理、英語版資料案の作成により、国際評価への対応体制が整備された。また、監視当局の運用文書改訂案についても、OECD文書との用語統一を図りながら英訳作業が進められた。

調査結果として、日本の化学物質GLP制度は国際的に複雑な運用体制を有しており、前回の現地評価以降も様式統一や指摘区分の差異解消など同一性確保が進展したことが確認された。一方で、近年公開されたOECD文書における新たな要求事項への対応が継続的課題として残されている。今後は、これらの現状を踏まえた更なる信頼性向上への取り組みにより、国際的信頼の一層の獲得が期待される。