令和4年度規制改革推進のための国際連携事業(データの越境移転に関する諸外国の規制制度等に係る動向調査)報告書公開版(英文)

掲載日: 2023年8月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局総務課国際室
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報告書概要

この報告は、データの信頼ある自由な流通(DFFT)について書かれた報告書である。日本政府が2019年のG20サミットで提唱したDFFTの実現に向けて、専門家グループが国境を越えたデータ移転における課題を分析し、具体的な政策提言を行っている。報告書は、プライバシー保護、サイバーセキュリティ、知的財産権保護などの社会的価値を維持しながら、経済成長と社会繁栄に必要なデータの国境を越えた移転を促進することを目的としている。

専門家グループは、企業インタビューと法的調査を通じて、データ移転における実際の障壁を特定し、透明性の確保、技術と標準化、相互運用性、関連システムとの補完性、DFFT明確化フレームワークの実装という5つの重要領域を提示した。透明性の確保においては、各国のデータ移転制度に関する整理された情報をマッチングするシステムの構築と、そのシステムが機能するメカニズムの確立を提案している。技術と標準化では、クラウド環境におけるデータ管轄権問題への対応や、データ履歴管理の強化、急速な技術進歩と制度環境の変化への対応策を検討している。

相互運用性については、各国が異なるデータ移転制度を持つことを前提として、政府が担当する領域と民間セクターが担当する領域を明確化し、PETsやRegTechなどの技術活用を通じた相互運用性の確保を提言している。関連システムとの補完性では、既存の国際機関や枠組みとの連携を重視し、システム設計における前提条件を整理している。

DFFT明確化フレームワークの実装に関しては、ステークホルダーと政府当局間の対話フォーラムの設立を提案している。このフォーラムでは、非排他性、包括性、非文脈化、非政治化という4つの原則に基づき、参加国の負担軽減、一定の非公開性、成果文書の公開という要素を考慮している。報告書は、多様なステークホルダー間の協力を通じて、実際にデータの国境を越えた移転を促進するための具体的な措置を共同実施する国際協力枠組みの構築を日本がリードすることを期待している。