令和4年度内外一体の経済成長戦略構築 にかかる国際経済調査事業(APECエコノミーにおける 日本発フェムテック製品・サービスの 展開可能性に関する基礎調査)調査報告書~セミナーの報告書~
報告書概要
この報告書は、APEC諸国における日本発フェムテック製品・サービスの展開可能性について調査したセミナーの報告書である。2023年1月31日に開催されたオンラインセミナーでは、女性特有の健康問題に対処するフェムテック(女性の健康課題を解決する技術製品・サービス)の重要性について議論された。
大島沙紀氏の基調講演では、女性の健康ニーズが偏見を持たれ資金不足に直面している現状が示された。特にアジアでは女性が健康問題について話すことが社会的・文化的にタブーとされている。女性の健康問題は経済にも深刻な影響を与えており、更年期症状による年間経済損失は1500億ドルに達し、生理痛により女性の経済生産性が年間9日間減少するとされている。
専門家パネルディスカッションでは、米国、日本、シンガポール、中華台北の代表者が各国の課題と機会について発表した。米国では産婦人科医不足と慢性疾患の高い罹患率が問題となっている。日本では社会的タブーと性と生殖に関する健康への認識不足、フェムテック投資の限界が課題として挙げられた。シンガポールでは月経ケア、生殖期の問題、更年期への対応が重要な課題となっている。中華台北では低出生率と乳がんが主要な女性健康問題として特定された。
各国共通の課題として、女性の健康問題に対する社会的認識不足、研究・投資の不足、男性主導の意思決定プロセスによる理解不足が指摘された。解決策として、政府による研究助成、公的医療保険制度の拡充、教育プログラムの実施、安全な情報共有環境の整備が提案された。フェムテック分野への投資拡大と技術革新により、女性の健康問題解決と経済成長の両立が期待されている。
