令和4年度皮革産業振興対策調査等(オールメイドインジャパン革製品のシェア拡大を目指した戦略検討調査)調査報告書

掲載日: 2023年8月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局生活製品課
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令和4年度皮革産業振興対策調査等(オールメイドインジャパン革製品のシェア拡大を目指した戦略検討調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日本の皮革産業のアジア地域(台湾・タイ)におけるシェア拡大戦略について書かれた報告書である。

日本産皮革素材を用いて国内で製造されるオールメイドインジャパン革製品の海外展開を目指し、台湾とタイの一般消費者2,186名を対象としたインターネットアンケート調査を実施した。調査の結果、両国の消費者の約8割が生産国に関心を持ち、日本製生活製品への信頼度も台湾で約9割、タイで約8割と高い水準を示した。また、日本ブランド皮革製品の品質についても両国とも約8割が高品質であると評価している。

皮革製品の購入時には生産国よりも品質、価格、フィット感を重視する傾向があるため、単に「日本製」というだけでなく、高品質で精緻という日本製のイメージを体現する製品であることが重要である。台湾では日本製皮革製品の浸透度が比較的低いため、「日本製」であることが判断材料になりやすく、タイでは既進出ブランドとの相対比較での優位性が必要とされる。

サステナブル製品への関心も両国とも約8割と高く、日本製皮革製品をサステナブルな製品として認識する消費者も多い。オンラインビジネスの動向調査では、ECサイトやクラウドファンディングなどのデジタル技術を活用した販路開拓の可能性が示された。

展示即売会等の開催については、現地デパートやショッピングセンターは企画提案を待つ姿勢であるため、現地のイベント会社や仲介業者と連携した積極的な提案が必要である。また、皮革製品単独ではなく、衣服や食品、化粧品など他の商品と組み合わせたイベント企画が効果的であり、未上陸ブランドを含めることでより魅力的な提案となる。

調査結果から、アジア地域への進出には「日本製」への好意的イメージを効果的に活用し、品質の高さとサステナブルな製品としての実質を備えることが鍵となることが明らかになった。