令和4年度燃料安定供給対策に関する調査事業(石油ガス流通・販売業経営実態調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度におけるLPガス流通・販売業者の経営実態について書かれた報告書である。
調査は、料金透明化や取引適正化に向けた政策検討の基礎資料とすることを目的として実施された。従来のアンケート調査を休止し、代わりに全国47都道府県から選出した約100事業者に対してヒアリング調査を中心とした経営実態調査を行った。調査対象は供給戸数により小規模(500戸以下)、中規模(501~2,499戸)、大規模(2,500戸以上)に分類し、立地条件も市街地、地方、島嶼部の3区分で選定された。
LPガス業界は電力・都市ガス自由化により競争が激化し、少子高齢化による需要減少、消費器具の高効率化などの厳しい環境に直面している。一方で災害時のエネルギー供給の最後の砦として重要な役割を担い、エネファーム等の環境配慮機器の普及や中核充填所の整備により供給網の強靭化が図られている。
2017年には取引適正化ガイドラインが制定され、2021年には集合住宅における料金情報提示が要請されるなど、業界の健全化に向けた制度整備が進んでいる。調査では事業者の経営状況、料金透明化の取組状況、集合住宅における取引実態、取引適正化への対応状況などが詳細に分析されている。
報告書には無償配管・無償貸与問題に関する裁判例調査も含まれており、100件を超える判例分析により、LPガス事業者の設備所有権や消費者契約法の適用状況が整理されている。これらの調査結果は、今後のLPガス政策立案における重要な基礎資料として活用される。