令和4年度サプライチェーン構造変化に関する新規事業開発調査事業調査報告書(公表版)
報告書概要
この報告は、中小製造業のサプライチェーン構造変化における新規事業開発について書かれた調査報告書である。
大手製造業を中心とした川下企業では、カーボンニュートラル実現やデジタルトランスフォーメーション、米中対立やロシアによるウクライナ侵略を背景とした供給途絶リスク、自然災害やパンデミックに対するレジリエンス強化といった課題に対応するため、サプライチェーンの見直しと再構築が進められている。このような構造的変化により、川上企業である中小製造業の事業環境は大きな変革期を迎えており、特にエンジン車から電動車へのシフトにより影響を受ける中小自動車部品サプライヤーにおいては、成長分野への事業シフトやビジネスモデルの転換を図る新規事業開発の必要性が高まっている。
本調査では、関東経済産業局管内の中小製造業を対象として、成功事例の調査、電動化対応事例の調査、戦略策定ハンズオン支援の試行を実施した。新規事業開発の成功事例調査では、2000年以降に取組が始まり、新規事業売上割合が直近で5%以上まで成長した中小製造業11社の事例を分析した。電動化対応事例調査では、従来のエンジン関連部品から電動化関連部品への参入を果たした7社の事例を調査した。さらに、自動車部品サプライヤー企業2社を対象として、SWOT分析やPEST分析、5フォース分析等のフレームワークを活用した戦略策定支援を実施した。
これらの調査結果を基に、アンゾフの成長マトリクスやプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント等の経営理論を参考として新規事業開発の要諦を取りまとめた。中小企業が新規事業開発を成功させるためには、まず自社の強みとコアコンピタンスを認識することから始め、既存事業で培った技術や設備、人材等の経営資源を有効活用しながら新たな事業領域に展開することが重要であると結論付けている。
