令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(ダイナミックプライシングの物流適応に関する調査)最終報告書

掲載日: 2023年8月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
タグ: 物流
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令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(ダイナミックプライシングの物流適応に関する調査)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、物流業界における2024年問題やドライバー不足等の深刻な課題に対する解決策として、ダイナミックプライシングの適用可能性について調査した報告書である。日本の物流現場では担い手不足が深刻化しており、ジャストインタイムなど荷主ニーズに合わせたサービス提供の結果として、小口多頻度化、積載効率の低迷、意図しない荷待ち時間などの問題を抱えている。さらに2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働上限規制適用やカーボンニュートラルへの対応も求められており、物資が運べなくなる危機的状況にある。現在の事業者間の物流価格設定は荷主の言い値や運送会社担当者の経験と勘に依存しているため、AI等を活用した公平かつ公正なダイナミックプライシングを導入することで輸送量の平準化を進めることが効果的であると考えられる。調査では様々な業界のダイナミックプライシング導入事例調査および企業ヒアリングを通して物流ダイナミックプライシングへの要件をまとめた結果、トラック積載率向上を実現するダイナミックプライシング方式、具体的には短期需要において受配達の時間調整によるディスカウントが物流効率化につながる可能性が高いとの結論となった。トラック積載率の向上などにより生み出した業界全体の利益を荷主と物流事業者で分配し、さらにデジタル化を進めることで、互いの利害関係を効果的に調整できる方向性を見出している。物流ダイナミックプライシングの実現に向けては、国または業界団体による標準価格の提示、オープンで透明性の高い物流価格形成の促進、効率化のインセンティブ付け、多重下請け構造の是正、そして物流事業者のデジタル活用促進などの施策が提言されている。