令和4年度予防・健康づくりに関する大規模実証及び認知症関連事業調査報告書
報告書概要
この報告は、令和4年度における予防・健康づくり及び認知症関連事業の大規模実証に関する調査報告書である。本事業は、疫学や医療経済学などの専門知識を持つ研究者による有識者会議を設置し、予防・健康づくりに関するポジティブリストの作成に向けた検討を行った。
有識者会議では、米国USPSTFや英国NICEなどの海外ガイドラインを参考に、日本における予防・健康づくり分野のポジティブリスト整備について議論された。特に心の健康保持増進領域に焦点を当て、職域におけるメンタルヘルス対策について調査が実施された。健康経営に取り組む企業や関連ソリューション提供企業へのヒアリング調査により、ポジティブリストの受容性や活用意向が確認された。
認知症関連事業においては、認知症イノベーションアライアンスワーキンググループが設置され、三つの主要論点について検討が行われた。第一に当事者参画型開発モデルの検討では、認知症当事者が製品・サービス開発に参画する意義や実践におけるポイントが整理された。第二にQOL・well-being指標の開発では、認知症領域における精神的観点やwell-beingを踏まえた指標整備について議論され、ICECAP日本語版タリフ作成に向けたアンケート調査が実施された。第三にデータ利活用の基盤づくりでは、エビデンス取得を目的としたデータ活用推進について検討された。
また、認知症予防に関する民間サービスの質向上を目的として、有識者による検討会が実施され、認知症関連6学会からの提言が作成された。この提言は事業者向けに認知症予防サービスの開発・展開における指針を示すものである。今後の課題として、ポジティブリストの社会実装に向けたスキーム検討や、当事者参画型開発モデルの普及、ICECAP-Aスコアリングシステムの完成が挙げられている。
